
海を渡ったサムライ -ABAオンタリオ・ウォリアーズ 宮田 諭- 〔2005.2.7〕
宮田 諭 オフシャルブログ:http://blog.livedoor.jp/smyt/
- Intro
早稲田大学でバスケットをしていた宮田 諭選手は、大学卒業後はサラリーマンとして電気会社に就職をする。だがバスケに対する熱は冷めることはなくクラブチームでプレイを続け、時間があればバスケに時間を費やす日々を過ごしていた。大学時代ではバスケをする環境と時間があり、制限されることなくバスケに明け暮れていたが、社会人となり“仕事とバスケ”という形で限られた時間でしかバスケットをできないという状況になった時、バスケに対する気持ちは日々大きくなり、そしてついには去年の初めには休暇届を出し、トライアウトを受けるため、海を渡った。
- ABAについて
ABAは、アメリカン・バスケットボール・アソシエーションの略。ABAと聞くと“青・赤・白”のカラーボールでプレイしてたのがよく紹介されている“Dr.J”ことジュリアス・アービングや、現在ロケッツとスパーズでプレイしているバリー兄弟の父リック・バリーがプレイしてたことでご存知の方も多くいるかもしれない。だが1976年にはABAは消滅しており、再度ABA設立されてから今年で5年目となる。その他のリーグにはNBDL、CBAやUSBLなどがある。
宮田選手の所属するオンタリオ・ウォリアーズは、Westのレッド・ディビジョンに所属しており、田臥選手・中川選手の所属するロングビーチ・ジャムと同じディビジョンである。
Eastのブルー・ディビジョンのハーレム・ストロングドックスには、宮田選手の後輩にあたる藤野選手が在籍している。またボストン・フレンズィにはレイカーズのコービー・ブライアントの父、ジョー・ブライアント(50)がプレイしており、番号はコービーと同じ8番をつけている。
- 宮田 諭
1978年1月9日生まれ
178cm のポイントガード。ファンとしてマイケル・ジョーダンのプレイに魅了され、プレイヤーとしては、身長の低いアレン・アイバーソンから多くのことを学んだと語る。自身の持ち味はスピードとクイックネス。ウォリアーズでは、自身のスピードとクイックネスは評価されてるのはもちろんだが、コーチに最も評価されているのは“考える力”である。コート上でプレイしている時でも、常に考ながら的確な判断を下すことの出来る宮田選手のプレイは、身体能力に溺れてしまい、コート上で自分のプレイビジョンが見えない外国人プレイヤーがいる中では更に際立って見えた。
その宮田選手の目標はもちろんのこと「NBA」であり、田臥選手と一緒に練習の機会をもったことが、渡米を決意する大きな要因になったとのことで、その田臥選手のフェニックス・サンズ入りについて聞いてみると、「同じ日本人としては“とても嬉しいこと”であったが、同じプレイヤーとしては“先を越されて悔しい”」と本音と負けず嫌いの一面をのぞかせた。
- オンタリオでの生活
アメリカ暮らしで一番懸念されるのが、“ジャンクフード天国”であるアメリカの食生活だろう。好き嫌いはないという宮田選手は、ハンバーガーやステーキといったアメリカ食でも問題なく生活を送っていけるとことだが、体調管理のために極力アメリカ食は控え、好物でもある日本米を主食にしているとのこと。
そこで外国人から見た納豆と同じように、一目おかれてしまうアメリカ食“オートミール”(オーツ麦100%の健康食、無味無臭、一見はお粥に似たような感じ。砂糖やシロップで味付けをする食べ物)について聞いてみると、「嫌いではないが、あえて食べません、、、」と小さく話してくれた。
言葉の面では、全く英語が話せない状況での渡米であったが、話せないことを苦にすることはなく現在ではチームメイトとスキンシップを取れるまでに話せるまでになり、一般生活でも困らない程度まで英会話は上達してる様子であった。
バスケットではウォリアーズの練習は3時間前後の短い時間で、基礎練習よりチーム練習が主体のメニューが組まれているため、個人練習の時間は自分たちで行わなければいけないのだが、宮田選手は自宅近くで一般解放されている体育館に毎日足を運び、自らメニューを組んだ基礎練習・シュート練習を欠かさないという。
またウェイトトレーニングについては、ウォリアーズの練習後にチームメイトと一緒にワークアウトにでかけたり、個人でワークアウトに出掛けるなど、週に2回から3回のウェイトトレーニングを行っている。また自身の持ち味であるスピードに支障がでないように大きな筋肉をつけず、体重68kg前後を維持できるようにワークアウトを行っているとのこと。
- オンタリオ・ウォリアーズについて
教会が地元地域の発展と社会奉仕の一環として、オンタリオ・ウォリアーズは設立された。
GMのオリバー・ビーンズは、物静かで一見怖そうにも見えるが、前職はイベントのコンサルタントなどの接客業を行っていた経緯もあり、会場に着いた我々をわざわざ出迎えてくれるなど、とてもやさしい人である。またチーム練習に必ず顔をだしているとのこと。
HCのブラット・ライトは、身長6-11(約211cm)元NBAプレイヤー。UCLAを卒業後、1985年にゴールデンステート・ウォリアーズにドラフトされ、ニックス・ナゲッツでのプレイ経験を持つ。NBAでのアシスタントコーチの誘いもあったが、NBAから少し距離を起きたいという理由でオンタリオ・ウォリアーズのHCを引き受ける。バスケットの知識はもちろんのこと、各プレイヤーの特徴を把握し、プレイヤーによって指導を変えることができ、チームの連帯感に最も重きを置いている熱血型コーチである。
取材時、練習最後のピックアップゲームでは気が緩んでいたプレイヤーに対して声を荒げ、叱咤する場面もあったがコーチにとっては全て計算のうち。それにより注意されたプレイヤーのみでなくチーム全体の士気は高まり、最後のピックアップゲームは各プレイヤーのモチベーションが高まり、とても内容の良いゲームでその日の練習を締めくくることができた。そんなコーチの夢は“日本でコーチングをすること”であり、今回のインタビューの中でも日本での仕事を紹介してくれと本気で話していた。
宮田選手に対するチーム内での評価は、とても高いものであるとライトHC。実際には先発PGとしてプレイできる技術と精神的強さを持っているが、チームに加わった直後から多くのプレイタイムを与えること出る可能性がある、チーム内での不協和音を考慮して少しずつプレイタイムを増やしている状況とのこと。コートに立てばチームメイトのプレイレベルを上げることができ、頭の中で考えた98%の内容をプレイに反映することができるチーム内で最も賢いプレイヤーとして評価していると話してくれた。
- NBAへのステップはNBDL・CBAを経由すること!?
今回海を越えてABA入りを果たしたわけであるが、ABAの全体の現状を見てみると決してバスケットをする上での環境は良いとはいえない。中ではオーナーの交代によりチーム名が変わったり、給料の未払いでチーム自体が消滅したりしているチームもある。
またABAからNBAにコールアップされたプレイヤーは、元NBAプレイヤーを除いてはいなく、不安定な試合日程もありNBAのスカウトはなかなかABAのゲームに足を運ばないのが現状。
まずはスカウトの目に留まらなければ、NBA入りはないだけにスカウトが良く足を運ぶNBDLや、CBAでプレイして少しでもNBA入りの可能性を広げてほしい。これまで、日本人ではNBAでは通用しないといわれていたが、もうその定義は古い!!
宮田選手の前には険しい道のりしかないのだが、非凡な才能と非常に強い精神力があるだけに「宮田諭ここにあり!! 」といったところを魅せてくれると期待して止まない。
その宮田選手の日々の状況については、オフシャルブログ(http://blog.livedoor.jp/smyt/)で確認できる。また、宮田選手はバスケットボールフットウェア・アパレルブランドである「k1x(ケイ・ワン・エックス)」(URL:http://www.slamjapan.com/about_k1x.html)とアパレル専属契約を結んだ日本人初のプレイヤーでもある。
(So 鴨志田)
So 鴨志田(そう・かもしだ)PROFILE
1975年東京にて生まれる。
NBAを観戦し17年。スカイパーフェクトTV「NBAリーグパス」において日本語解説を努め、それがきっかけとなりジャーナリストとして活動を開始。下記においてライターとして活動。
・ ベースボールマガジン社の「NBA新世紀」(http://www.bbm-japan.com/)
・ ヘッドライン社「TOKYO HEADLINE(フリーペーパー)」(http://hlt.jp/)
・ 日本スポーツ企画出版社「DUNK SHOOT」(http://www.dunkshootnet.com/)
NBAをはじめMLB、格闘技全般、Xゲームなどを幅広くカバー。
[NEW TOPIC!] ”寄稿中!! ベースボールマガジン社 “NBA新世紀Vol.12「2004-05 NBAパーフェクト・ガイド」”絶賛発売中!!”
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